バセドウ病のアイソトープ治療
ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料で、体内に取り込まれたヨウ素は甲状腺に集まります。
その性質を利用して、放射性ヨウ素(放射線が出る性質を持たせたヨウ素)をカプセルで服用して甲状腺に取り込ませます。
これがごく弱い放射線を出し、甲状腺の細胞を少しずつ破壊することで、甲状腺ホルモンを作りにくくしていきます。
放射線は到達距離が短く、甲状腺以外の臓器への被爆はほとんどありません。
入院が必要な場合はあまりなく、ほとんどが外来での治療になりますが、特別な設備が必要であり、治療ができる医療機関はごく限られています。
アイソトープ治療が適さない人
「5歳未満の小児」「妊娠・授乳中の方」には、放射線の影響を考慮してアイソトープ治療を行いません。
アイソトープ治療後に甲状腺眼症が悪化する恐れがあるため、眼に炎症がある状態(活動性眼症)ではアイソトープ治療は行えません。
治療後について
治療後の経過はさまざまで、数か月後には抗甲状腺薬が中止できることが多いですが、年数が経つにつれて甲状腺機能が低下して、甲状腺ホルモン薬の服用が必要になる人が増えてきます。
将来妊娠を希望される場合、女性はアイソトープ治療後6か月間、男性は治療後4~6か月間は避妊が必要です。
機能性甲状腺結節のアイソトープ治療
機能性甲状腺結節では、腫瘍が甲状腺ホルモンを過剰に作りだして、血液中の甲状腺ホルモン濃度が高くなり、下垂体からTSHが分泌されなくなるため、腫瘍以外の甲状腺組織はホルモンを作らず、休眠状態になっています。
この状態で、放射性ヨウ素(放射線が出る性質を持たせたヨウ素)をカプセルで服用すると、放射性ヨウ素は甲状腺ホルモンを作る腫瘍にのみ取り込まれ、腫瘍細胞だけ破壊されます。
腫瘍以外の甲状腺組織は放射線の影響を受けずに残存するので、最終的には甲状腺機能が正常化します。
甲状腺癌のアイソトープ治療
乳頭癌や濾胞癌は、肺や骨、リンパ節などに転移を起こすことがあり、手術後に再発するリスクがある方に対し、放射性ヨウ素(放射線が出る性質を持たせたヨウ素)の服用によるアイソトープ治療が行われます。
甲状腺の細胞には、甲状腺ホルモンの原料であるヨウ素を取り込む性質があり、乳頭癌や濾胞癌の癌細胞も、わずかですがヨウ素を取り込む性質を持っています。
その性質を利用して、放射性ヨウ素をカプセルで服用し、手術後に残った病変や転移した箇所の癌細胞を放射線で破壊します。
乳頭癌や濾胞癌の癌細胞がヨウ素を取り込む能力は、正常な甲状腺細胞の1/10~1/100程度と低く、正常な甲状腺組織があると、放射性ヨウ素は正常な甲状腺細胞にばかり集まって癌細胞に取り込まれないため、手術で甲状腺を全部摘出する必要があります。
アイソトープ治療が効かなかった場合には、次の段階として「分子標的薬」を使います。
この記事の監修者
横浜甲状腺クリニック
院長淡野 宏輔
内分泌・代謝内科医として診療経験を積んだ後、
甲状腺専門病院である隈病院および昭和医科大学横浜市北部病院甲状腺センターで研鑽を積み、バセドウ病や橋本病、甲状腺腫瘍など幅広い甲状腺疾患の診療に従事。
これまで培った知識と経験を生かし、甲状腺専門医として患者さま一人ひとりに寄り添った診療を心がけています。
資格など
- 医学博士
- 日本甲状腺学会 専門医
- 甲状腺超音波ガイド下穿刺診断 専門医
- 日本乳腺甲状腺超音波医学会 評議員
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 難病指定医
主な経歴
- 筑波大学医学専門学群 卒業
- 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 博士課程修了
- 筑波大学附属病院
- 国立病院機構 災害医療センター
- 医療法人みなとみらい 浦舟金沢内科クリニック
- 医療法人神甲会 隈病院
- 医療法人みなとみらい みなとみらいクリニック 院長
- 昭和医科大学横浜市北部病院 甲状腺センター







