薬剤の副作用により甲状腺機能低下症や甲状腺中毒症をきたすことがあります。
薬剤の副作用により甲状腺機能低下症をきたす機序
下記のようにさまざまな機序があります。
①脳下垂体での甲状腺刺激ホルモン (TSH)の分泌を抑制する
②甲状腺でのホルモンの産生・分泌を抑制する
③甲状腺ホルモンの代謝を促進する
薬剤の作用によって甲状腺ホルモンの代謝が進んだ分、甲状腺ホルモンは少なくなります。通常であれば、減少した甲状腺ホルモンを補うだけの能力は備わっていますが、橋本病などで甲状腺ホルモンを産生する能力が低下している場合は、減少した甲状腺ホルモンを補えきれずに甲状腺機能低下症をきたします。
④甲状腺ホルモンと結合するタンパク質を増やす
甲状腺ホルモンと結合するタンパク質が増えると、このタンパク質から離れて臓器に作用するホルモン(FT4, FT3)が少なくなり、甲状腺機能低下症をきたします。橋本病などで甲状腺ホルモンを産生する能力が低下している場合に起こります。
⑤結合タンパクと甲状腺ホルモンの結合を阻害する
⑥T4からT3への転換を阻害する
⑦腸管での甲状腺ホルモンの吸収を阻害する
薬剤の副作用により甲状腺中毒症をきたす機序
下記2つの機序があります。
①甲状腺機能亢進症
薬剤の作用により、甲状腺の働きが活発になりすぎて甲状腺ホルモンが過剰に作られます。
②破壊性甲状腺中毒症
薬剤の作用で甲状腺が破壊されて、甲状腺に蓄えられていたホルモンが血液中に漏れ出ることで、甲状腺ホルモンが過剰になります。

これらの薬剤による甲状腺機能異常症の多くは、服用を中止すれば改善しますが、中止ができない場合や、服用を継続した方がよいと判断される場合には、原因となる薬剤を服用しながら甲状腺機能異常に対する治療を行います。
この記事の監修者
横浜甲状腺クリニック
院長淡野 宏輔
内分泌・代謝内科医として診療経験を積んだ後、
甲状腺専門病院である隈病院および昭和医科大学横浜市北部病院甲状腺センターで研鑽を積み、バセドウ病や橋本病、甲状腺腫瘍など幅広い甲状腺疾患の診療に従事。
これまで培った知識と経験を生かし、甲状腺専門医として患者さま一人ひとりに寄り添った診療を心がけています。
資格など
- 医学博士
- 日本甲状腺学会 専門医
- 甲状腺超音波ガイド下穿刺診断 専門医
- 日本乳腺甲状腺超音波医学会 評議員
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 難病指定医
主な経歴
- 筑波大学医学専門学群 卒業
- 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 博士課程修了
- 筑波大学附属病院
- 国立病院機構 災害医療センター
- 医療法人みなとみらい 浦舟金沢内科クリニック
- 医療法人神甲会 隈病院
- 医療法人みなとみらい みなとみらいクリニック 院長
- 昭和医科大学横浜市北部病院 甲状腺センター







