遺伝的に甲状腺ホルモンに異常が起こる病気で、生まれつき「甲状腺がない(無甲状腺症)」「甲状腺が小さい(甲状腺低形成)」「甲状腺が正常の位置にない(異所性甲状腺)」あるいは「甲状腺ホルモンをつくる酵素がない(甲状腺ホルモン合成障害)」などの場合は、生まれたときから甲状腺ホルモンが不足します。
甲状腺ホルモンは、子どもの成長には欠かせないホルモンであり、これが不足すると体の成長や知能の発達が遅れて、低身長、知能障害が起こります(この状態を「クレチン症」といいます)。
母親の甲状腺に異常がなくても、2,000~3,000人に1人ぐらいの確率で生まれてきます。
検査と治療
生まれて4~7日の間に、赤ちゃんの血液を濾紙に吸わせて、TSH(甲状腺刺激ホルモン)を測定することで、甲状腺機能が低下していないか調べます(新生児マススクリーニング検査)。
甲状腺機能低下症が見つかった場合は、出生後すぐから甲状腺ホルモン薬の服用を開始することで、クレチン症の発症を回避します。
甲状腺機能低下症の原因を調べる検査は体への負担が大きいため、4~5歳になってから行います。
一部の甲状腺ホルモン合成障害を除き、一生涯、甲状腺ホルモン薬の服用が必要になりますが、何ら問題なく成長して、健康な人と同じように過ごすことができます。